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高圧受電設備とは?|工場・商業施設で使われる電気設備の仕組み

工場や大型商業施設、病院などで多くの電気を使用する施設では、一般家庭とは異なる電気設備が必要です。愛知県岡崎市・西尾市・蒲郡市周辺でも、製造業を中心とした多くの事業所が高圧受電設備を導入しています。
 
株式会社笠木電工では、西三河エリアを中心に一般電気工事を手がけており、高圧受電設備の設置や保守についても豊富な実績を持っています。本記事では、高圧受電設備の基本的な仕組みや構成機器について、電気工事の専門企業の視点から分かりやすく解説いたします。
 

高圧受電設備とは何か?基本的な仕組みを理解しよう

高圧受電設備
高圧受電設備とは、電力会社から送られてくる高い電圧の電力を、施設内で使用できる電圧に変換するための設備です。発電所で作られた電力は数万ボルトという非常に高い電圧で送電され、変電所を通して段階的に電圧を下げながら各地域に供給されています。
 
一般家庭では電柱に設置された変圧器で100ボルトや200ボルトに変圧されてから供給されますが、工場や商業施設など大量の電力を必要とする施設では、6,600ボルトの高圧電力を直接受電し、敷地内に設置した高圧受電設備で100ボルトや200ボルトに変圧して使用します。
 
 

高圧受電契約のメリット

 
高圧受電契約は、一般的に契約電力が50キロワット以上の施設で適用されます。この契約形態には以下のようなメリットがあります。まず、電力料金が安くなることが挙げられます。電力会社の変圧器を使用しないため、低圧受電契約よりも割安な料金で電気を使用できます。
 
また、大容量の電力を安定して供給できるため、生産ラインや空調設備など多くの電力を必要とする設備を効率的に運転できます。さらに、停電時の影響を最小限に抑える自家発電設備との連携も容易になります。
 

重要ポイント
高圧受電設備は単に電圧を下げるだけでなく、落雷や漏電などの事故から設備を保護する重要な役割も担っています。適切な設置と定期的な保守点検により、安全で安定した電力供給が実現されます。

 

高圧受電設備の種類と特徴

 
高圧受電設備には、設置方法や規模によって主に2つの種類があります。それぞれの特徴を理解することで、施設に最適な設備を選択できます。
 
 

受電室式高圧受電設備

 
受電室式高圧受電設備は、主に大型工場など大量の電力を使用する施設で採用される形式です。フレーム鋼で構成された開放型の構造で、遮断器や継電器などの機器が設置されています。多くの場合、屋外に設置され、将来的な増設や改修が比較的容易に行えるという特徴があります。
 
ただし、機器が露出しているため、直射日光や塩害、風雨などの環境要因による劣化が進みやすいという課題もあります。そのため、定期的な点検と適切な保護対策が重要になります。
 
 

キュービクル式高圧受電設備

 
キュービクル式高圧受電設備は、金属製の箱の中に高圧受電設備を収納した形式です。「キューブ(立方体)」の形状からキュービクルと呼ばれています。商業施設や中小規模の工場、オフィスビルなど、比較的規模の小さい施設で広く採用されています。
 
機器がキュービクルで保護されているため環境の影響を受けにくく、安全性が高いという利点があります。また、標準化された設計により、コストパフォーマンスにも優れています。一方で、箱の中に機器が収納されているため、メンテナンスや増設時には制約があることも考慮する必要があります。
 

 

高圧受電設備の主要構成機器

 
高圧受電設備は、安全で安定した電力供給を実現するため、多くの重要な機器で構成されています。各機器は それぞれ特定の役割を持ち、相互に連携して動作しています。
 

変圧器(トランス)

役割:6,600ボルトの高圧電力を100ボルトや200ボルトの低圧電力に変換する中核機器です。

特徴:油入式と乾式があり、容量によって適切なタイプを選択します。冷却方式や絶縁方式により性能が決まります。

断路器(ディスコン)

役割:電気が流れていない状態で電気回路を確実に遮断し、保守点検時の安全を確保します。

特徴:負荷電流を遮断する機能はないため、他の機器と組み合わせて使用します。

高圧気中開閉器

役割:電気事故が発生した際に電力を遮断し、電力会社への事故波及を防ぎます。

特徴:保護継電器と連動して自動的に動作し、施設内外の安全を確保します。

避雷器

役割:落雷による強力な電気を地面に受け流し、機器の故障や火災を防ぎます。

特徴:サージ電圧を検出して瞬時に動作し、精密機器を保護します。

保護継電器

役割:電圧や電流の異常を検知し、遮断機に遮断指令を出力して設備を保護します。

特徴:過電流継電器、地絡継電器、電圧継電器など、様々な異常に対応します。

高圧進相コンデンサ

役割:力率を改善して電力料金を節減し、電力損失を軽減します。

特徴:誘導負荷による遅れ電流を進み電流で相殺し、電力効率を向上させます。

参照:高圧受電設備とは?機器構造や点検する必要性をわかりやすく解説
参照:高圧受変電設備の構成って?役割や交換時期を知ろう
 
 

計測・制御機器の重要性

 
高圧受電設備には、運転状況を監視し制御するための計測機器も重要な構成要素として含まれています。電圧計、電流計、電力計、力率計などにより、設備の運転状況をリアルタイムで把握できます。
 
これらの計測データは、電力使用量の管理や設備の最適化、故障の早期発見に活用されます。近年では、IoT技術を活用した遠隔監視システムの導入も進んでおり、効率的な設備管理が可能になっています。
 

高圧受電設備の安全管理と法的要件

 
高圧受電設備は電気事業法により「自家用電気工作物」として分類され、厳格な安全管理が義務付けられています。設備を設置・運用する事業者は、法律に基づいた適切な管理体制を構築する必要があります。
 
 

電気主任技術者の選任

 
高圧受電設備を有する施設では、電気主任技術者の選任が法的に義務付けられています。電気主任技術者は設備の保安監督を行い、安全な運転を確保する責任者です。第三種電気主任技術者以上の資格を持つ者を選任するか、経済産業大臣の認定を受けた電気保安法人に業務を委託する必要があります。
 
 

定期点検と保守の重要性

 
高圧受電設備は定期的な点検が法律で義務付けられています。月次点検では外観点検や計器の確認を行い、年次点検では詳細な機能検査や絶縁測定を実施します。これらの点検により、設備の異常を早期に発見し、重大な事故を防ぐことができます。
 
点検記録は適切に保管し、官公庁の検査に備える必要があります。また、機器の劣化状況を把握し、適切な時期に更新を行うことも重要な保守管理の一環です。
 

愛知県西三河地域での高圧受電設備の重要性

 
愛知県の岡崎市、西尾市、蒲郡市を含む西三河地域は、トヨタ自動車をはじめとする製造業が集積する日本有数の工業地帯です。この地域の多くの工場や商業施設では、高圧受電設備が重要なインフラとして機能しています。
 
製造業では、生産ラインの停止は大きな損失につながるため、信頼性の高い電力供給が不可欠です。また、近年の脱炭素化の流れを受けて、省エネルギー化や再生可能エネルギーの活用も求められており、高圧受電設備の役割はますます重要になっています。
 
株式会社笠木電工では、地域の産業インフラを支える一般電気工事業者として、高圧受電設備の設置から保守まで、幅広いサービスを提供しています。長年の経験と技術力により、お客様の事業継続を電気設備の面からサポートいたします。
 

地域特性
西三河地域では、製造業の高度化に伴い、より安定で効率的な電力供給が求められています。高圧受電設備の適切な設計・施工・保守により、地域産業の競争力向上に貢献できます。

 

まとめ

 
高圧受電設備は、工場や商業施設などで大量の電力を安全かつ経済的に使用するための重要な設備です。6,600ボルトの高圧電力を100ボルトや200ボルトに変圧し、様々な保護機能により安定した電力供給を実現しています。
 
受電室式とキュービクル式の2つの形式があり、施設の規模や用途に応じて適切な選択が必要です。また、変圧器、断路器、保護継電器など多くの機器が連携して動作し、安全で効率的な電力システムを構築しています。
 
法的要件を満たした適切な管理体制の構築と定期的な保守点検により、設備の安全性と信頼性を維持できます。愛知県西三河地域の産業発展を支える重要なインフラとして、高圧受電設備の役割は今後もますます重要になっていくでしょう。
 

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